現像趣味者の敗北

http://tate.undef.jp/20050313test.jpg 左右のどちらが綺麗に見えますか?
どちらも同じデータで、右は一週間前に現像したもの。今見ると色が薄くて陰がきつく、肌色のハイライトが黄色く色転びしている…ように見える。うーん、モニタは測色機で合わせてるし、自分の目が信用できないってことか。

カメラ内インスタント現像てどうなのよ

何かリファレンスになる現像結果が必要なわけだが一番手っ取り早いのはデジタルカメラ内部の画像処理エンジンだろう。撮影時にRAW+JPEGを同時記録できる機種なら手間もない。今使っているデジカメのD70とG3でJPEG出力を見てみた。
露出は飛ばないギリギリに合わせた。どちらも妙に色が濃くてハイコントラスト。ハイライトの描写がくどくて暗部がかなり暗い。…はて、これじゃリファレンスにならないんでは?
…この特徴、ガンマ値の異なる画像を表示した時の現象によく似ている。
デジカメ画像のガンマ値はいくらだろう?

  • ニコンの窓口「出力デバイスの想定やそのガンマ値は存在するが、色再現ノウハウなので教えない」
  • キヤノンの窓口「一般公開できる情報の中にはガンマ値の記述はない」
  • オリンパスの窓口「JPEG出力のガンマ値は存在するが、非公開」

非公開にせよ、機種ごとに決まったガンマ特性があることは返答から推測できる。では調べよう。元々ガンマ補正Aされたデータに後からガンマ補正Bをかけて、ガンマ2.2(C)のモニタで表示して実物の見た目とマッチするようなBを探す。ガンマ補正は y=x^rなので(x^A)^B=x^CだとA=2.2/Bになる。
今回の調査ではD70のガンマは1.6,G3のガンマは1.37になった。追試する人いないかな。
JPEG画像のガンマをあわせて彩度を軽くいじってみたら自分でRAW現像したよりも綺麗げな感じになった。ガッデム。つまり今までの自分の現像は歪んでいたわけだ。

撮ったままの再現

PhotoShop CSのRAWプラグインで明るさに0を指定して開くとガンマ1.0の状態になる。次に出力デバイスにあわせて2.2のガンマ補正をかけると「カメラに写ったまま」の状態を見ることができる。(実際には「CSのRAWプラグイン」の癖が残ったり、汎用故に機種別の特性は補正しきれないけど省略)
色は薄いしフィルム的なトーンカーブもついていないので、そのまま使えるようなものではない。加工するとハイライトの色転びと輪郭の偽色が目立つ。

D70の階調補正カスタマイズ

D70はPCからカメラに階調補正データを設定できる。補正データにガンマ補正1.37を指定すると「本体の液晶とPCモニタに合わせたJPEG」が同時記録されるわけだ。露出と現像の参考にするリファレンスを得るのが目的なので、トーンカーブには何も設定しない。

さまり

今回はカメラ出力JPEGを見直すことで、入力と出力の特性を揃えることの重要性を再確認した。また過去のレタッチ例との違いから、感覚のみに頼ったレタッチの危うさを知ることができた。
入力と出力の特性をそろえるための現像と視覚上好ましい結果を得るためのレタッチはある程度区別するべきだと思うようになった。自分の目が信用できないのだからレタッチに正解はない。しかし入力の特性を知ればレタッチの失敗を減らせるし、撮影時に対処できることを知る材料が増えるだろう。
今まで感覚に頼って色々調整してたわけだが、大幅に減らせそうだ。